二郎とかいうカルトフード
- White Rabbit Entertainmen
- 2020年1月27日
- 読了時間: 4分

カルト映画って言葉がある。
Wikipediaによれば「熱狂的ファンによる小グループによって支持される映画のこと」であるらしい。
たぶん「スター・ウォーズ」とか「ブレード・ランナー」とか最近では「ジョーカー」とかがそれにあたるだろうと思う。とにかくメジャーなものでも一部熱狂的なファンがいたりする映画をカルト映画と呼んだりする。
今日数年ぶりに二郎に行った。場所は三田本店、初めての訪問である。ここは朝8時から開店しており、オレが行った11時頃には既に30人ぐらいの列ができていた。客層は大体どの店舗も汚いオタク系のオッサンか学生の二極である、中間層は基本的に余りいない、この店もその例に漏れず同じ感じだった。
オレは今まで7店舗ぐらいの二郎を食べに行った事があるが店はどこも汚いし狭い、どの二郎も開店時から行列が出来るので数十分待つこともザラである。しかしここのラーメンは旨い。ラーメンを食らうためそれでも待つ。
列を待ってる間に壁に貼ってあるチラシに目が行く。何でもラーメン二郎の生みの親「山田拓美 」が77歳になるとかで記念のパーティーを開催するとの情報の記載があった。参加費は10000~12000円とのこと。そのパーティーの主催団体名が「塾員から二郎への恩返し実行委員会」だった。 なんか気色悪い。

思えばこのラーメン屋はかなり変だ。ネットでよく言われてる独特のルールのせいではなく、食いに来てる客に変なヤツが多い。今日行った三田本店でもそうだった。
オレの隣でラーメンを啜るオッサンがキョロキョロしてる、しばらくして「今日おやっさんいないの?」と若いスタッフに尋ねてた、たぶん創始者の山田拓美がいるかどうかを尋ねたんだろう。「今外出てていませんね」と返すスタッフ「よろしく言いたかったんだけどな」みたいな独り言を呟くオッサン。
こういうヤリトリは二郎に行けばここに限らずよく目にする。ヤツラが何をしたいのかと言うと、店のスタッフと小気味の良い会話を展開する事によって、周囲にいる他のジロリアン達よりも自分の方がジロリアンとしての地位が上である事を誇示しているのだ。「オレはスタッフにも平気で話しかけちゃう常連なんだぜ?」みたいな。そんな威圧感を周囲でラーメンを食ってるだけの連中にまき散らしているのである。
自然な会話とかではなく、明らかにそういった目的のために店のスタッフと会話を発生させてるヤツが二郎ではしばしば存在する。何がしたいんだよ。オレは半ばムカつく様な、気色悪い様な変な気分に陥りながらもニンニク、アブラ野菜マシマシのラーメンを完食して店を出た。
そして帰り際、オレは思った。先程のオッサンの一連のヤリトリ、過去に行った他の店舗での似たような出来事。こういう「店主やスタッフと話をすることで店での自分のランクが上がる」とか思っちゃう様なバカな客が組織の繁栄にとって非常に重要であると。この様な信者というものを生み出し、定着させる事がどんな分野の組織においても拡大と繁栄のために必要不可欠であろうとの考えに至った。
「ファイト・クラブ」というカルト映画がある。
「ブラッド・ピッド」演じる「タイラー・ダーデン」はファイトクラブという組織を興す。
当初2人で発足したクラブであったが、タイラーのカリスマ性に魅せられた底辺連中達は次々にクラブの会員となる。
発足時はメンバー同士で殴り合い、日々のつまらない作業で失われつつあった己の身体感覚と生きている実感を取り戻す事を目的とした小規模なクラブであったのだが、信者の増加と共にクラブは拡大、いつの間にやら各地方に支部ができ、最終的には消費社会をブチ壊すために動く巨大な組織となりクレジットカードデータを保管しているビルを爆破する。
ここで二郎の話に戻る。
この一杯のラーメンに魅せられた客が信者となる、そしていつの間にやら店の創業者を崇め始め、1万円も金を取るような変な催しものまで開催される存在として君臨している。
以上の事からオレは「二郎」というラーメン屋は「カルトフード」と呼ぶ事ができる存在であろうと思う。
ジロリアン達がビルを爆破する日は近いかもしれない。
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