ヤクザの息子 小林くん

小林くんと出会ったのは2015年1月、小規模多機能型高齢者施設 コミュニティホーム楽でバイトとして働いてた時の事であった。

初日、バイトリーダー風を吹かしてる感じの同い年の彼を見て「コイツ絶対めんどくせえ。」と思う。

何故ならオレは別に仕事にやる気なんかないから、行ってテキトーに言われた事やって金貰えれば良い訳で仕事なんかどーでもいいし介護なんかに欠片の興味もない。やる気に満ちた彼みたいな存在はオレにとって害でしかない。

案の定、後日バアさんの風呂介助に手間取り階段を降りてきたところ、小林がお局系クソババアの山地に「小川さん利用者にとっては良いと思うけど時間かかりすぎなんですよね。」みたいな事を喋ってるのが聞こえてきて「コイツ死なねぇかな。」と思った。

そんな事もありつつ何だかんだで話せるヤツではあったのでその後段々とそこそこの仲になったんじゃないかと思う。オレが賃貸マンションの騒音にキレて階下の住人を殺しに行った未遂の際に月1万で自分の部屋に住まわせてくれたり、実家に戻った後に再度東京へ出てくる際にもひと月無料で部屋に泊めてもらったりした。

そんな中学１年生の頃お母さんにエロ本が見つかり一時期不登校となっていた小林くんの親父は元ヤクザらしい。背中から前腕にかけ満遍なく和彫りが入っているらしく、家族で外出中なんかにそれを見てヤクザブラザーズが話かけてくるらしく、それを回避するためにいつも長袖を着てるのだとか。

2016年の1月、オレが再度東京へ出てきた際にひと月泊めてもらってた時に小林くんの親父は薬物所持かなんかで刑務所中だった。小林くんは本当は警察官になりたかったらしい、しかし親父がヤクザであったのでその夢はアウトローな親父のせいで打ち壊されてしまった。自分の夢は壊すし薬物で捕まる、そんな家族に迷惑をかける親父の事を小林くんは「倒したい。」と言っていた。ヤクザから足を洗った小林くんの親父は鳶職をやっているのだとか、腕とか相当ムキムキらしい。「出所してすぐやれば良いじゃん、ロクなもん食わしてもらってないから相当痩せてるし勝てるだろ。」とオレは言った。

そこからしばらく後、小林くんに会って話をしている最中フイに「親父痩せてた？」と問うてみたところ「痩せてたぁ...」と返答が返ってきて笑った。しかしその後すぐにファミチキとか食いまくり肥えたらしい。

そんな小林くんのヤクザな親父エピソードをいくつか聞いた。1つは新幹線暴力事件。車内販売のワゴン車のタイヤが外側に投げ出していた親父の足にぶつかりキレて販売員を殴ったらしい。「その時どうしたの？」と聞くと「他人のフリしてた。」と言っていた。「え、その後に訴えられたりとかそういうのなかったの。」と聞くと「次の駅が目的地で着いてからすぐ降りた。」らしい。

小林くんの話で一番笑ったのがそんな親父のヤマダ電機出禁事件。態度の悪い店員にキレた親父が口論になりヤマダ電機から出禁を喰らったという話。飲み屋でとかなら分かるが、良い年した元ヤクザがドノーマルな電気屋で普通に出禁にされるってのがツボだった。

そんな小林くんとオレとの仲に亀裂が入ったと感じた出来事がある。ある日LINEで小林くんが「何も言わずに2万貸してくれ」と連絡してきた事があった。「何も言わずに2万かしてくれって意味分かんねえ、どういう状況だよ。」と思い「無理」と返答。これにより決定的に戻らない何かがオレと小林くんの中に入ったのではないかとオレは思っている。それ以降、以前と比較して何か冷たい感じがする。

その後、「あれ何だったの」聞いても言いにくそうにして何かボソボソ言って明確な返答がない。「で、あれ何だったの」と聞いても特にコレといった返答はない。何だよ言えよ気色悪い。

前々からやたら見下してくる発言多かった。ウザかった。介護職辞めたタイミングで一度LINEから削除した。twitterかなんかで連絡取ってきて会った。やっぱ見下してくる。デイキャンプ行った時を境に再度LINE切った。やっぱ一回無理ってなるヤツは一生無理。性格なんかそうそう変わらないし。

そんな小林くんとのシンクロ率が1番高かったのは小林くんの引っ越しを手伝った時、車にて移動中、小林くんの母親が送ってきたkiriのクリームチーズを2人で食い、空いた箱を民家に向かって投げ捨てる、食って、空箱を民家に向かってまた投げ捨てる。ってのを3回ぐらい繰り返してたあの時代。

本当はもっと面白おかしくボロクソに書けるんだけどめんどくさくなった。時間をかけてダラダラ書くと毎回途中でオレは何を書いてんだろうという気がしてきてアホらしくなってきてどーでもいいやって気持ちになり失速してしまうんだよな。公開しないよりマシかってなってとりあえず公開するんだけど全然不本意な出来なんだよな。