オレとサカイと貧乏人
- White Rabbit Entertainmen
- 2020年5月28日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年10月11日

高校時代極真空手の道場で練習をした帰り道、オレとサカイは大体コンビニで500mlのパックジュースを買って飲むのが習慣となっていた。
オレは大抵イチゴミルク、サカイは毎回何か新しい新商品のマズそうなセンスのないジュースを選ぶ。
この時必ずサカイは「一口ちょうだい」と言ってくる。
オレはそれがイヤであった。オレはイチゴ牛乳が飲みたくてそれを買っているワケで、彼が買うジュースに興味はないからだ。しかもガサツなヤツであったのでたぶん歯磨きとかもロクにしていなさそうな虫歯と雑菌だらけの口からオレのストローを使って中身の液体を吸い上げる。
そして飲む量が多い、全然一口じゃない。更に彼はオレのイチゴミルクを飲みつつ自分のジュースを飲んでいるオレの様を気付かれないよう伺い見て「コイツが飲む量よりも1mlでも多く吸い込んでやろう」とするのである。その様からは明らかに卑しい意思が見て取れた。
先に飲み終わったオレは未だ必死にオレのイチゴミルクを啜るサカイを見てシンプルに「こんな貧乏人には成りたくないな」と思ったものである。街で見かける歩き方が変な足を引きずった汚いホームレスを見た時よりもこの時の彼の情景を思い起こした時の方がそういう気持ちが湧いてくる。
しかしそう思わせるだけのインパクトは持っていた人間ではあったので何も記憶に残らない人間よりも幾分かはマシかもしれない。
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