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UBER EATS 僕らの配達履歴 1


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仕事辞めてから何をして食っていくかとか色々考える。


「Uber Eats」っていう食品配達サービスがある。街歩いてるとたまに変な四角いリュック背負ってチャリ乗ってるヤツを見かけると思うんだけどあれはその配達員だ。


この「Uber Eats」はスマホと自転車さえあればいつでも好きな時に働けるお手軽な仕事だ。オレも一時期本業の管理人仕事が終わった明け休みなんかに小銭を稼いでた時期がある、めんどくなってリュック返却して辞めたけど。それを再開して生活費の足しにしようかと思い立った。


今回はそんなUber Eatsでオレが働いてた時に起きた出来事や知り合いから聞いた話等の「Uber Eatsあるあるエピソード」を何回かに分けていくつか紹介していこうと思う。


ある時俺はメインの管理人の仕事が終わってからUber eatsの配達をしてた。この日は結構矢継ぎ早に仕事が入り、22:00ぐらいにもうちょっとで稼ぎが1万円いくかいかないかぐらいの実入りでテンション上がってた。


あと少しで請負終了時間になる23:00頃だったと思う。一件の配達仕事がスマホに通知された、その仕事を請け負い商品を取りに行く。依頼のあった店は個人でやってる中華料理屋だった、配達商品は小さい容器に入ったスープとかだ、白い袋に入れられまとめられていた。


「この仕事を最後にして今日は終わろう」本業の稼ぎとは別にこれで1万円が手に入る、オレはウキウキしながら商品をカバンに入れノリの良い音楽をかけながら全力全身で目的地に向け自転車を飛ばしあげた、Uber Eats史上最も速くお客様の元に商品を届けるのだ。


それが悲劇の始まりだったのである。


客のマンションに着く、スマホに表示されていた目的地到達時間よりも圧倒的に早く着く事ができた。自分の脚力の素晴らしさに惚れ惚れしながら颯爽とウーバーリュックを開き商品を取り出そうとする。


するとどうだろう、リュックを開けた途端、エスニックな香りがオレの鼻を突く。「こぼれている。」オレはウーバーリュックを開けると共に商品のスープが思いっきりこぼれている事を悟った。


商品を入れていた白い袋の隅には容器から零れた大量のスープがこれでもかと溜まっている。


「ごまかしようがない。」オレは覚悟を決めエレベーターに乗り込んだ。客の部屋のインターホンを押す、客が出てきた、もう逃げられない。


「すみません、店の梱包が悪かったんでちょっと零れてしまいました、お店の責任なのでクレームは店に直接電話して下さい、よろしくお願いします!」「じゃあ失礼致します!」


臆すこともない、悪びれも一切ない、オレは胸を張って客にそう告げた後、堂々とその場を後にする。ミッションコンプリート、これで仕事は完了だ。


オレは自転車に跨ると客のマンションを後にし自宅へ向け自転車を走らせる、なんて清々しい気分なんだ、良き日であった。


風がオレの背中を押してくれた様な気がした。

 
 
 

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